組織上の枠組みに縛られないフレキシブルな対応を可能にするため、各調査、研究及び業務をその目的により以下の各グループに分類し、各グループ内で情報を共有し、進捗状況を相互に認識しつつ、横断的に調査、研究及び業務を推進しています。また、グループ内外の調整を行うため、各グループにはグループ長を置き、グループ内の調査、研究及び業務について、計画及び実施段階における指導、助言及び調整を行っています。
メチル水銀毒性の病態メカニズムを、分子レベル (遺伝子、蛋白質)、細胞レベル (培養細胞)、個体レベル (実験動物)及び人体レベル (病理組織) からの総合的アプローチによって解明し、メチル水銀中毒の診断、予防及び治療への応用につなげます。
病態メカニズムグループの研究詳細
脳磁図、MRI及び磁気刺激検査を用いて、水俣病患者の慢性期における臨床病態の客観的評価法の確立を目指します。また、水俣病患者の日常生活動作 (ADL) や生活の質 (QOL) の向上を目指して、リハビリテーション、磁気刺激治療等の最先端の医療を行います。さらに、介護予防事業等を通して水俣病被害地域の福祉の向上を図るとともに、地域の融和及び振興並びに水俣病の歴史的検証に必要な情報の整理及び発信を行います。一方、水俣病の剖検例の病理組織標本及び資料については、他の疾患等と異なり、極めて貴重なものであるため、デジタル化して永久保存するとともに有効活用できるよう、体制の整備を進めます。
臨床・福祉・社会グループの研究詳細
環境汚染に起因する水銀のヒトへの曝露評価及び健康影響を総合的に研究しています。特にメチル水銀の高濃度曝露集団並びに胎児・小児及び疾病を持つ脆弱性の高い集団を対象とし、メチル水銀の曝露とリスク評価及び健康影響の解明を、セレンをはじめとする各種交絡因子を考慮に入れた疫学的研究及び実験的研究の両面から実施しています。
リスク評価グループの研究詳細
水銀の環境中における循環、化学変化等といった水銀の動態の把握とその解明を目指して、野外調査、観測、室内実験、各種分析等を含めた総合的な研究を行います。大気、水、土壌、底質及び生物を調査対象とし、水俣湾を中心に、八代海及び東アジア全域を対象地域とする一方、水銀汚染地域については、国際的な観測ネットワーク等とも協調し、世界中を視野に入れて活動しています。
自然環境グループの研究詳細
NIMDフォーラム等を通じ、国際交流による海外研究者との情報交換及び研究に関する相互連携の推進を図っています。さらに水銀問題に直面している発展途上国等のニーズに応じ、国立水俣病総合研究センターが保有する知識・技術・経験について、海外研究者の受入れ及び研修を通じて積極的に発信しています。また、発展途上国等で利用可能な簡便な水銀の計測技術の開発をはじめとして、広く国際協力を推進するとともに、新たな研究成果など最新の情報を発信していきます。
国際貢献・情報グループの研究詳細