コインチェック株式会社は、ビットコイン、イーサリアムやリップル、ネムなど、話題の暗号資産の取引サービス「Coincheck」を運営しています。
全社員が業務改善に取り組める最適なプラットフォーム Workatoで、大幅な業務効率化を実現。
Workatoを導入した一番の成功は、各事業部の担当者がITエンジニアを通さずに、ビジネスプロセス、オペレーションプロセスの改善ができたこと、そしてそれをきっかけに彼らが積極的に業務改善の取り組みを行えていることだと思います。
課題
- ビジネスの 急成長
- マニュアル業務 の効率化が急務
- 全社的に取り組める 自動化プラットフォーム
話題の暗号資産の取引サービス「Coincheck」を運営しています。同社の河石氏は、システム運用管理部にて「ゼロトラスト」の思想で全社的なアーキテクチャを視野に入れた社内システム構築を行い、Workatoを使用した業務の効率化に力を入れています。
コインチェック社のシステム運用管理部は、一般企業のいわゆるIT部門や情シスと呼ばれる部門であり、SaaSなどのシステム管理や社員のインターネット利用時のログなどの分析を行っています。はじめは、システム運用管理部内の業務の効率化のために、システム統合や自動化に最適なプラットフォームを模索していました。それと同時に、近年のビットコインやイーサリアムなどの暗号資産の市場拡大とともに急速にユーザーが増加している状況の中、事業部からの要望を聞いていく中で膨大の一途をたどる業務オペレーションを効率化したいという声も上がっていました。中でも最も効率化したいものの一つとして挙げられていたのが、Coincheck上で提供しているユーザー間チャットサービスのモニタリング業務でした。日々一万件ほどのチャット内容に対して、ガイドラインに沿った利用がされているか、規約違反の不適切な発言はないかなどを、フィルタリングワードで検索をかけて1件ずつ担当者が確認し、検知した場合は記録していくという非常に時間のかかる作業を行っていました。
このような部内外からのニーズにより、マニュアル業務の自動化をはじめとした、社内のさまざまな部署での業務課題解決に向けた統合・自動化プラットフォームが必要でした。ただ、システム運用管理部での限られた人的リソースの中で、社内全部署に対してそれぞれの要件にあった自動化システムの開発を行うことは、スピード感や運営の面でも難しく、全社的なインパクトを出すためには、各部門で課題に対するソリューションをアジャイル開発していくというのが理想と考えていました。その上で重要な要素であったのは、IT知識なしのノンエンジニアでも開発ができるような、民主化されたプラットフォームかどうかというところでした。また、誰でも自動化に取り組める環境 = さまざまな社内アプリへのアクセス権限が必要 となるため、その際のセキュリティーやガバナンスの重要性は言うまでもなく、エンタープライズ向けのプラットフォームというのが大前提でした。
解決策
- チャット機能の自動モニタリング
- ビジネス事業部での自動化フロー開発の実施
Workatoを統合・自動化プラットフォームとして採用し、社内の様々な業務の自動化を行っております。チャット機能のモニタリングと、Slackのチャンネル招待申請、Google Sheetのリモート出社手当の自動検査、カスタマーサポート系の回答のサジェスト、回答を補助する自動化フロー(レシピ)も動いており、細かい作業ですと、サポートでの重複した質問項目のマージや、デイリーレポートの出力などもすべて自動化しています。その中で、最も効率化したい作業であり、Workato導入後初期の取り組みであった、チャットサービスの監視・管理の自動化について以下に詳しく紹介をします。【カスタマー同士のチャットサービスでの、規約違反となる不適切発言の自動モニタリング】Coincheckサービス内のカスタマー間のチャット機能と、GoogleのNatural Language AIを連携し、自然言語処理とクラス分類を実施。それにより、ワードのスコアリングを行い、NGワードや要注意ワードを検出。検出ワードはGoogle Sheetへ自動転記・蓄積し、結果集計からの対処法をSlack経由でカスタマーサポート部門へ通知をする、と言う流れで、チャット内の不適切発言の自動化対応を行っています。【不適切発言からの自動処理機能を拡張中】チャット機能内での違反検出の次段階として、ユーザー発言権の停止判断機能も現在構築中です。Natural Language AIでの自然言語処理からのスコアリング結果をGoogle Sheetへ出力し、発言したユーザーに対するスコアリングを実施。そこからさらに、その発言に突発性/常習性があるかをスコアリングより判断し、ユーザーへ複数回のアラートを通知。そのワーニングが二回以上続くと、最終的には発言権の停止処理をするところまでを、フルオートで行えるようになる予定です。
結果
- 民主化されたプラットフォームにより、各ビジネス事業部のエンドユーザが自主的に自動化の開発に取り組むことが可能
- セキュリティ・ガバナンスの確保
- チャット機能のモニタリング業務を96%工数削減
カスタマーサポート部でのチャット機能のモニタリングを自動化することにより大幅な効率化が実現し、1ヶ月130時間かかっていた作業が5時間/月に大幅短縮。件数では、1日1万件のモニタリング作業が1日100件程度までに短縮されました。また、カスタマーサポート部だけでなく、経理部門や法務部門など合計6、7部署でもWorkatoによる業務自動化が実現しており、全社的にも効率化の効果により飛躍的なビジネスインパクトが出ています。また、数値的なROI以外で高く評価している点としては、こういった全社的な自動化の取り組みを、ITエンジニアだけでなくビジネス事業部の各担当者も率先して行えているところが挙げられます。従来のIT部門の役割としては、各事業部からの自動化要件やニーズを吸い上げ、要望にあうシステムを作り上げるといったところが期待されていました。しかしその場合、要件定義から実装・さらには手戻りからの細かい修正までの工数が、直接ITエンジニアへの負荷となることで人的リソースの不足につながり、ITチームの本来のミッションであるプロダクト開発の遅延や、リソース増員でのコスト過多をもたらす傾向にありました。それが、今回民主化されたプラットフォームを持つWorkatoを導入したことで、レシピの開発はITエンジニア任せではなく、業務を通して課題を明確化できる事業部のユーザーが実際に取り組むことができるようになりました。今回紹介したチャット監視の自動化も、IT部門で大枠は作り、要件に応じた細かいレシピの調整などはカスタマーサポート部側で行うという流れでアジャイル開発ができています。そうすることにより、各事業部のユーザーもどうすれば業務の効率化ができるのかを常に念頭に入れ、積極的に新しい改善に取り組むことができる環境になっていることが、Workato導入で得られた中でも一番大きな成功だと確信しています。Workatoを導入しスピーディーに成果を出せたことにより、ビジネスプロセスやバックオフィスのプロセス改善の重要性が社内でも認知されるようになりました。今までは少数精鋭で、各部署の効率化の促進を支援してきましたが、今後は「DX推進部」としてイニシアチブをとり、全社的な業務改善を目指すべく、各部門が率先してビジネス課題や業務課題の発見から要件定義を行い、Workatoでそれを実現するところまでを取り組めるよう、社内ユーザーの育成を行っていきたいと考えています。それにより、各部署での改善すべき業務課題を自分達で解決することができ、全社的にスピード感のある業務最適化を推進していけるのではないかと考えています。