IoT Greengrass ML を使用すべき理由
AWS IoT Greengrass を使用すれば、クラウドで構築、トレーニング、最適化したモデルを使って、機械学習推論を簡単にデバイスでローカルに実行できます。また、Amazon SageMaker でトレーニングされた機械学習モデルを使用したり、Simple Storage Service (Amazon S3) に保存されている、事前にトレーニングされた自分のモデルを持ち込めたりと、柔軟性も高まります。
機械学習では、既存のデータから学習された統計的なアルゴリズムを用いた「トレーニング」というプロセスを使って、新しいデータについての決定が下されます。このプロセスを「推論」と呼びます。トレーニング中に、データ内のパターンと関係が特定され、モデルが構築されます。このモデルにより、それまでに遭遇したことのないデータについて知的な決定をシステムが下すことが可能になります。モデルの最適化では、すばやく実行できるようモデルのサイズが圧縮されます。機械学習モデルのトレーニングと最適化は大量のコンピュータリソースを必要とするため、クラウド上の実行に適しています。一方、推論は必要な処理能力がはるかに少なくて済むとともに、新しいデータが来るたびにリアルタイムで頻繁に行われます。したがって、IoT アプリケーションがローカルイベントにすばやく応答できるようにするためには、推論結果を非常に低いレイテンシーで取得することが重要になります。
AWS IoT Greengrass は、クラウドとローカルの両方の利点を最大限に活用できます。クラウドで構築、トレーニング、最適化した機械学習モデルを使用して、推論をデバイスでローカルに実行できます。たとえば、シーン検出分析のための予測モデルを SageMaker で構築し、カメラで実行するように最適化し、デプロイして、不審なアクティビティを検出したときにはアラートを送信できます。AWS IoT Greengrass で実行されている推論から集められたデータを SageMaker に送り返すと、データがタグ付けされ、機械学習モデルの継続的な品質向上の支援につながります。
利点
柔軟性
AWS IoT Greengrass には、インテル Atom、NVIDIA Jetson TX2、Raspberry Pi を使用しているデバイス向けの、事前構築された Amazon SageMaker Neo Deep Learning Runtime (DLR)、Apache MXNet、TensorFlow、Chainer のパッケージが含まれています。したがって、お使いのデバイス用に機械学習のフレームワークをゼロから構築、設定する必要はありません。さらに、PyTorch と Caffe2 を含むその他の一般に広く利用されている他のフレームワークにも対応しています。AWS IoT Greengrass で Amazon SageMaker Neo を使用している場合は、上記フレームワークで記述されたモデルは、どの Neo ランタイムを含む AWS IoT Greengrass デバイスでも実行できる移植可能なコードに変換されるので、エッジで追加のチューニングを行う必要もありません。
数ステップで接続されたデバイスにモデルをデプロイ
AWS IoT Greengrass を使えば、自分の機械学習モデルをクラウドからデバイスに簡単にデプロイできます。AWS IoT Greengrass コンソールを数回クリックするだけで、Amazon SageMaker か Simple Storage Service (Amazon S3) でトレーニングされたモデルを特定し、ターゲットモデルを選択して対象デバイスへデプロイできます。モデルは、ユーザーが選択した接続デバイスにデプロイされます。
推論パフォーマンスを高速化
Amazon SageMaker や Neo 深層学習コンパイラーと統合することで、ランタイムが最適化された機械学習モデルをデプロイできます。その速度は、手作業のチューニングや機械学習のフレームワークを使用した場合と比べ、最大 2 倍に達します。また、AWS IoT Greengrass は、Nvidia Jetson TX2 ボードなど、共通の機械学習フレームワークやターゲットデバイスに、事前構築されたランタイムを供給することで、デバイスの GPU などハードウェアアクセラレーターへのアクセスも可能にします。
推論実行できるデバイスが拡大
Amazon SageMaker と Neo コンパイラーとの統合により、モデルは 10 分の 1 未満のメモリフットプリントで最適化されるため、家庭用防犯カメラやアクチュエータなどリソースが限られたデバイスでも実行可能になります。
接続デバイスで推論実行がより簡単に
AWS IoT Greengrass を実行しているデバイスで推論することで、予測のためにクラウドへデバイスデータを送信する際のレイテンシーとコストを削減できます。すべてのデータをクラウドに送信して機械学習の推論をするのではなく、デバイス上で直接推論を実行します。
より高精度のモデルを構築
AWS IoT Greengrass を使用すると、推論および推論結果取得の実行、異常値の検出、クラウドや Amazon SageMaker へのデータ返送が可能になり、データの再分類とタグ付けが行われて、機械学習モデルの精度がさらに向上するように再トレーニングするモデルにしようされます。
ユースケース
主なお客様
ヤンマーでは、AWS IoT Greengrass によって、野菜の主要成長段階を自動的に検出、認識することで収穫高を増やし、温室運営のインテリジェンスを高めています。
Electronic Caregiver では、AWS IoT Greengrass ML 推論により高品質の介護を確かなものにしています。機械学習モデルを直接エッジデバイスにプッシュして、患者の安全を維持しています。
Vantage Power では、AWS IoT Greengrass により、個々の車両に機械学習モデルをプッシュして、バッテリーの不良を 1 か月前に検知しています。