祝 (米)
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祝 | |
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属 | イネ属 Oryza |
種 | イネ O. sativa |
亜種 | ジャポニカ O. s. subsp. japonica |
品種 | 祝 |
開発 | 京都府立農事研究所丹後分場 |
祝(いわい)は、イネ(稲)の品種の一つ。日本酒の醸造に用いられている酒造好適米である。心白が非常に大きい特徴を有する。『京の米で京の酒を』として京都産の米を使った点を強く訴え[1][2]地域ブランドを冠した日本酒原料米として栽培されている[3]。
品種特性
[編集]大粒だが、分蘖も少なく、収量は少収である[4]。長稈で耐倒伏性も弱い[4]。
一方、酒米としては、心白発現率が高く、心白自体も大きいのが特徴[4]。「味のある酒ができる」とされる[4]。ただし、腹白は少ないものの心白が大きいために割れやすく、精白は50%程度が限界である[4]。
栽培史
[編集]1933年に京都府立農事試験場丹後分場(現・京都府農林水産技術センター農林センター丹後農業研究所(丹後特産部))において野条穂の純系より派生した品種である[5]。丹波・丹後地区で、1933年から1946年および1955年から1973年の2度に渡って、京都府の奨励品種として栽培されていた。背が高くて倒れやすく栽培が難しいことや、収穫量が少ないこと等の問題が影響し、1973年に栽培が中止されていた[要出典]。
1992年に再び奨励品種として、京都府のオリジナル米として復活[5]。復活に際して生産現場より栽培の省力化といった求めをうけて丹後農業研究所では、1993年不耕起移植栽培の試験栽培を行ったところ耕起移植栽培と変わりない収量が得られた[6]。
2016年(平成28年)産米では、京都府の醸造用米の作付面積の57.1%を占める[7]。2017年(平成29年)産米時点で、「五百万石」とともに京都府の醸造用米の産地品種銘柄(必須銘柄)となっている[7]。
脚注
[編集]- ^ 若井芳則、「京の米で京の酒を」 美味技術学会誌 2017年 16巻 1号 p.39-42, doi:10.11274/bimi.16.1_39
- ^ 「京の米で京の酒を」推進会議 京都府
- ^ 尾崎耕二, 三浦清之, 笹原英樹, ほか、「酒造掛米用水稲品種「京の輝き」の育成」 『作物研究』 2013年 58巻 p.25-31, doi:10.18964/jcr.58.0_25
- ^ a b c d e 副島顕子著『酒米ハンドブック 改訂版』株式会社文一総合出版、2017年7月31日、13頁。
- ^ a b 副島顕子著『酒米ハンドブック』文一総合出版、2011年、p.12
- ^ 山下道弘 1995a, p. 1.
- ^ a b 井上繁『47都道府県・米/雑穀百科』丸善出版株式会社、2017年10月25日、198頁。
参考文献
[編集]- 山下道弘、杉本充「酒米「祝」の生産安定に関する試験ー第1報不耕起移植栽培が酒米品種「祝」の育成に及ぼす影響」(PDF)『京都府農業研究所研究報告』第17号、京都府農業研究所、京都、1995年9月、1-6頁、ISSN 02888386、NAID 40004466636、2010年9月16日閲覧。「昭和8年に京都府立農事試験場丹後分場において、野条穂の純系分離より育成された。昭和8年から21年、昭和30年から48年の2度に渡って奨励品種として生産が奨励された。府内酒造業界の協力を得ながら平成4年に再度奨励品種として、再び生産の現場に持ち込まれた。」
- 山下道弘、杉本充「酒米「祝」の生産安定に関する試験 第2報 不耕起移植栽培における施肥法の違いが酒米品種「祝」の生育に及ぼす影響」(PDF)『京都府農業研究所研究報告』第17号、京都府丹後農業研究所、京都、1995年9月、7-11頁、ISSN 02888386、NAID 40004466637。
- 京都府. “「祝」「京の輝きについて」” (PDF). 2020年3月7日閲覧。
- 副島顕子編、2011年7月発行、『酒米ハンドブック』、文一総合出版社 ISBN 9784829911334
- 副島顕子著『酒米ハンドブック 改訂版』株式会社文一総合出版、2017年7月。
- 井上繁著『47都道府県・米/雑穀百科』丸善出版株式会社、2017年10月。